本州最北端だからなんだ

今更感満載のておくれ日記

SANS NETWARS 2017 Tokyo に参加してきた

 

はじめに

この前 8/30, 31 に東京で行われた「SANS NETWARS トーナメント」に参加したので書き残す。

 

SANS NETWARS とは

SANS NETWARSトーナメント2017

毎年8月の後半に行われているらしい、「NRI Secure Technologies」主催のCTFイベント。

2日間にわたって開催され、1日目は情報セキュリティトレーニング、2日目は丸ごとCTFで構成されていた。

SANS Instituteとは|SANS JAPAN

SANSという組織はここで初めて聞いたのだが、どうやら情報セキュリティ分野に特化した教育専門機関らしい。

日本円にして60万円程度?するらしい1週間かけて行われるトレーニングの一部分を、日本の学生にも是非体験してもらおうという趣旨らしい。

学生100人が抽選で招待され、会場にさえたどり着ければ何もかもが無料だった。

毎年倍率が高いらしいが、中の人曰く今年は例年より人の集まりが悪かったらしく、ラッキーなことに当選して参加することが出来た。

 

参加するまでの話

SANS NETWARS の存在を知ったのは、タイムラインを横切ったこのツイート。

twitter.com

なにやらタイムラインの強い方々がザワザワし始めたため、興味本位でサイトを覗いてみた。

CTFはBeginnersで満足する程度のレベルであったため、どちらかと言えばトレーニング目当てで応募してみることにした。

毎年7月の半ばには募集が始まっているらしく、某キャンプみたいなポエム提出に身構えたが応募用紙は選択形式アンケートのみであった。

SANSとかNetwarsという単語を含んでツイートすると速攻で中の人がレスを送ってくださり、なんだか運営との距離が近いように錯覚するイベント。なかなかアイコンやヘッダが攻めていて驚いた

twitter.com

色々気軽に聞ける環境だったため、初参加の私としては

SNS活発でとてもありがたいな」と思った。

 

1日目の話

会場は大手町サンケイプラザというところだった。

www.s-plaza.com

地下鉄と直結で、コンビニやら飲食店が地中にある。2日間ビル3階のホールでイベントは行われた。

会場周辺はオフィス街なのか、スーツをまとったビジネスマンだらけかなりのアウェー感が襲ってきた。

何年かしたら自分もああなってしまうのかと思うと怖い。

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当日の会場内はこんな感じだった。正面にスクリーンが2台用意され、真ん中に講師が座る。

昨年までは個人戦だったらしいが、今年はチーム戦で行われたため4人一組のテーブルである。

参加者の顔ぶれを見ると某キャンプのチューターや参加者、有名なCTFチームの方、中にはSECCONの出題者側の人もいたらしい。私は明らかに場違いであった。

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個人応募で座席・チームについては当日会場で発表。チーム応募になってしまったら田舎民的には辛そう。

明らかにチームの足を引っ張る私は謝罪する側であったため、テーブルに一番で着いて土下座のアップを始めていた。

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参加者全員におそろいのポロシャツとトレーニングのテキスト、そして良さげな鞄が配られた。

ポロシャツは中のひとTwitter垢同様攻めたカラーで、2日間を通じて来ている人が少なかった。自分は未だに袋から出してない。

会の最初にチョロっと自己紹介タイムが設けられた。

この頃になって分かってきたのだがチーム分けは出身校が固まるように行われていたっぽく、私のチームは私以外全員同じ研究室のM大院生だった。

偶然にも某Hackで見かけたことのある方がチームにいたため気持ち的には安心した。

講義内容については口外禁止でここに書くことは出来ないが、サイトから引用する限りこんな感じの内容で構成されていた。

  • 脆弱性診断の概要
  • 診断ツールの紹介
  • 診断対象の選定
  • 診断対象の調査
  • 脆弱性診断 (スキャニング)
  • パスワードクラック
  • エクスプロイト

テキストに従って講師が講義を行い、要所要所で当日配布のVMによる実習を行う感じである。

講師はSANS認定インストラクターのTim Medin氏。CTF大好き芸人でカウンターハックのプロらしい。

講義は終始英語で行われ、3名の通訳さんが交代交代で同時通訳を行ってくれた。室内に通訳さん用の小部屋が用意されていて、田舎者の私はそれだけでびっくりであった。

Tim自身の英語も極めて聞き取りやすいものであった。

なかなか講師への質問フェイズで質問が出てこなく、やっと出た一人目の質問がまさかの流暢な英語だったために質問ハードルが大きく上がってしまった。

お昼ご飯はチームメイトの方々と一緒にビル地下でランチを食べた。都会のランチはなかなかのお値段

午後も座学とハンズオンを黙々と行われ、この頃になると参加者も慣れ始めじゃんじゃん質問が飛び交った。

プログラムの終了後は懇親会が行われた。

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思っていたより遙かに豪華なお食事が用意されており、ビール・ワインが飲み放題でそこには楽園が広がっていた。

お食事の最中には主催企業様の紹介プレゼンテーションが行われた。

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某キャンプ参加者の方々ともお話が出来、皆さんのその後を垣間見ることが出来て良かった。

この日は近所のホテルに泊まって翌日に備えた。

こんなにスゴいのに学生は無料で参加出来るとか

「学生の身分っていいな」と思った。

 

2日目の話

 2日目は一日中CTFが行われた。

残念ながらCTFの内容についても口外禁止のためここで書くことが出来ないが、サイトから引用する限りこんな感じの内容で構成されていた。

  • Level 1 - Played on local Linux image without root
  • Level 2 - Played on local Linux image with root
  • Level 3 - Attack a DMZ
  • Level 4 - Pivot to intranet
  • Level 5 - Master of your domain... castle versus castle

全日の懇親会で飲み過ぎたせいか(?)チームの1人が風でお休みしてしまい、私のチームは3人で挑むこととなった。

CTFそのものは初心者丸出しの私でもトレーニングで学んだ内容で対応できるレベルもあり、CTFやってるぜ感を味わうことが出来た。

この日は「ご飯を食べに行く時間すら惜しい人」のためにお昼ご飯としてお弁当が支給された。

www.s-plaza.com

たぶんここの高雄クラスだったが、おにぎりだけでもありがたいレベルなのにこんなに豪華なお弁当をいただけるとは思ってもいなかった

唐揚げのためだけにレモン果汁が付いてくる弁当とか都会ってスゴいなと思った。写真を撮っておけばよかった。

6時間ほどCTFを行い閉会式が行われ、表彰タイム。

Tokyo Westernsの方が所属していた「SaitamaWesterns」が圧倒的スコアで優勝した。

twitter.com

私のチームはM大生の強い先輩方が巧みに得点を重ねてくださり最終的に12位だった。

普段ボッチでCTFを解いている身としてはチームで行うのは楽しかったし、終わった後もチームメイトで余韻に浸ることが出来てとても良かった。個人戦は考えるだけで恐ろしい。

期間中、部外者の私にも終始紳士的に接してくださったチームメイトの皆様には感謝の念が堪えない。

「院生って強いな」と思った。

 

さいごに

とても充実した2日間を過ごすことが出来た。

これだけ素晴らしい内容の講義を受け、独自のCTFを楽しませて頂き、食事まで付いて無料なんて何か騙されているのでは無いかと不安になるレベルで素晴らしかった。

来年参加を検討している皆さんは、是非是非この素晴らしいイベントに応募しましょう。

参加してから知ったのだが、NETWARS の "WARS" は STAR WARS のそれらしいので、最新作までとサイドストーリー一式を知っているとより楽しめそうである。

 

主催してくださった NRI Secure, UB Secureの皆様、講師のTim、ならびに 通訳の片方に圧倒的感謝。

 

セキュリティ・キャンプ2017 ~当日編~

 

はじめに

22歳までの学生が応募することができ、技術的に恐ろしいプロ学生が集うセキュリティ・キャンプ。

そこへ最年長(4月生まれ22歳)で参加した、セキュリティ学習歴1年未満の圧倒的技術不足な残念さんのお話。

Twitterで自分の記事を挙げてドヤってる人に触発されて書いてはみたけどこっそりアップしておく。

 

会場についてのお話

今年から人数が増えたため会場が変更になったらしく、「クロスウェーブ府中」で前日入りを含め5泊6日を過ごした。

x-wave.orix.co.jp

館内は清潔で吹き抜けが日光を呼び込み、1階には噴水モドキと木が4本くらい生えているお洒落な建物だった。

 会期中は外出が制限され、朝早くにコンビニツアーが開催されていた。

コンビニツアーに行かなくても飲み物は大量に用意されており、館内にもファミマと提携している自動販売機があったため特に困ることは無かった。お部屋のチャイムもファミマ仕様

部屋は綺麗な一人部屋。広くてマットを敷いてヨガが出来そうなレベルだった。

 

0日目のお話 (8/13)

距離的に当日入りが厳しい人たちは前日入りする許可が与えられた。

17:00頃までに参加者13人が会場に到着し、皆で晩ご飯を食べた後ひたすら講義の予習をして、翌日に備えて早く寝た。

 

1日目のお話 (8/14)

1日目は参加者全員で受ける全体講義がメインだった印象。

セキュリティ基礎

ttps://twitter.com/security_camp/status/896984973793607680

人工知能が進化していくなか、今後も残るセキュリティの仕事は何なのか」をテーマにグループでディスカッションを行った。

グループは座席表に従った4人構成で、誰が決めたのか名簿五十音順で座席は決まっていた。その結果私は一緒に応募した同じ大学の人と一緒になった。

折角ここまで来て一緒の大学の人とディスカッションってどうなのさ日向。

座席表を決めた人に配られたハンドスピナーを投げつけたい気持ちになった。

特別講義

仕事人と倫理人の豪華2本立てだった。

最初はグローバルに働くひよこ鑑定士の方のお話。

開幕から「『太陽の塔』という小説を読んだことはありますか?」という

堅苦しいプレゼンの日本代表みたいな始まり方で期待度が低かったが、

その後急に汚い言葉を連発して会場の心を掴み、仕事人ならではの貴重な話を交えつつ、それでいてしっかりとしたメッセージを持った一貫性のある講義に仕上がっていた。

「ひよこ鑑定士ってトークスキル高いな」と思った。

お次は倫理枠として分析官の方のお話。

フォレンジックに関わる仕事人としての話や、情報セキュリティを学ぶ上での倫理のお話がメインだった。

個人的に興味がある話だったため聞いていて楽しかったが、周りではチラホラ轟沈している学生が見受けられた。

最初の方のインパクトが強すぎて、分析官の方の印象が結構薄れてしまった。

「子供の話をしているときの暖かい表情が可愛い」と思った。

チューター紹介

チューターを代表して3人のプロの方々が発表を行った。

率直に感想を述べると「強い」の一言に尽きる。

3名それぞれとても高度なことをやっていながら技術レベルの低い私にも分かった気にさせる、そのプレゼンスキルに感動した。

それぞれの方の堂々としている表情を見ていると、

「自分も何か武器が欲しいな」と思った。

グループワーク

過去に参加した先輩が「期間中一番辛かった」と言っていたイベント。

8人チームで会期中の5日間を使って、与えられたお題についてプレゼンテーションを作成するイベントだった。

8人に増えたことで自大学濃度が薄まってほっとした。

与えられたお題は

  • 学生が作るソフトウェアの品質を担保するために自分たちは何をするか?
  • 学生がサイバー犯罪に手を染めないために自分たちは何をするか?
  • 2020年東京五輪でキャンプ卒業生が活躍するために自分たちは何をするか?
  • 今後セキュリティキャンプの効果を最大化するために自分たちは何をするか?

の4つで、いずれも「自分たちは」という主語が強調されていた。

期間中に来場している方々にバンバンヒアリング調査して意見を取り入れていこうというもの。

私たちのグループは一番取っつきやすいサイバー犯罪を選んだ。

参加者に4人しかいない女性の半分が所属しており、中学生の可愛い少年もメンバーにいて平和な世界だった。皆使っているパソコンがMacLenovoの私に居場所は無かった。

あと、グループワーク全体を通じて「司会進行の川口さんスゴいな」と感じた。

来場している講師陣をうまい形で紹介しつつ、説明部分は極めて簡潔にまとめられており、演説かのような伝わりやすい発声。全体を通じて一番輝いて見えた。ただ、

「その前髪のセット大変そうだな」と思った。

 

2日目のお話 (8/15)

いよいよ専門講義が始まる。各々が選択した講義へと散っていった。

D1 「Linuxカーネルを理解して学ぶ脆弱性入門」

 ガチャピン先生と呼ばれるクインテット」でピアノを弾いていそうな方が講師だった。

「D2, D3を取るから、内容的にこれも取っておけば良さそう」と思って選択した。

プロが集まるイベントの「入門」は十中八九地雷だが、淡い期待を抱いてLinuxカーネル初心者の私は参加した。

初めは理解しやすい&基本的内容で「おっおっ?」と喜んで講義を受けていたが

途中から入門とは余り呼べない雰囲気になり始めて「アッアッ…」状態だった。

カーネルどころかそもそもLinux超初心者であったため、「ターミナルでの入力時にtabで補完される」という一般人でも当たり前のことをガチャピン先生から聞いてこの講義で始めて知った。

D2-3の復習を行いつつLinuxカーネルの勉強をしていたところ、幸いにも当日使った講義資料と環境がやっと配布されたので、夏休みを使ってじゃんじゃん復習していく予定。

この講義を受けさせて頂いた以上、復習でカバーしてなんとしてでも技術を習得したいというモチベーションが発生した。

このレベルで先生の講義を取ってしまったことにただただ罪悪感を覚え、

「申し訳ないことをしたな」と思った。

D2-3 「カーネルエクスプロイトによるシステム権限奪取」

今回の講義の中で一番ヤバそうだったるくすさんの講義。

なぜこの講義を取ったのかは全く覚えていなくて、応募課題でもこのジャンルの問題は避けていたのでますます謎。ただ、自分の知らない世界をかなり広げてくれたように思う。

事前課題からなかなか激しい内容であったが、「技術不足を時間量でカバー」をモットーにキャンプ前の予習をほぼこれに充てた。予習部分については課題を達成しある程度理解を深められたものの、そんな付け焼き刃では太刀打ちできなかった。

ただ、全くついて行けない分からないポカーンではなく、事前学習の成果もあってかある程度講義内容は掴めた。掴んだつもりでいる。

終始胃が痛くて帰りたい気持ちになったが、結果として技術的に楽しむことが出来たと思う。思いたい。

間に食事休憩があったが、胃が痛すぎて何も食べられなかった。

講師のるくすさんは講義で苦しむ学生の姿を見て終始嬉しそう満足げだった。

後日の食事タイムに「一番辛かった講義は何でしたか?」なんて質問を飛ばしていたもんだから、

「一番キャンプを満喫しているな」と思った。

 

3日目のお話 (8/16)

3日目にもなると大分この生活に慣れてきた。毎朝のけものフレンズが日課。

C4 「IoT時代のセキュアなクラウドインフラ構築術」

別イベントでIoT関係を勉強しているため、講義タイトルでこれを選んだ。

わかりやすいスライドでクラウドインフラの現状を教わった。

前半はスライドによる座学で、後半は実際にIoTデバイスからのパケット(を模したもの)をクラウドに流してグラフ処理を行うハンズオンが行われた。

会員登録から行わなければならないものの、クレジットカード認証と組織メールアカウントの認証が必要でなかなか皆さん違う意味で手こずっていた。

最終的には各テーブルで再現に成功した人のものを共有する形で内容を閲覧できた。

関係ないところで時間が取られてしまい、肝心の部分に時間を余りさけなくて悲しかったが、前半のスライド座学だけでも大分得るものがあった。

「見た目と声のギャップが激しいな」と思った。

A5 「Availability Challenge ~サービスの可用性を確保せよ~」

第2希望が通って受けることになったこの講義、とても楽しむことが出来たので受けられてとても良かった。

 Hardening を体験できるシステムを使った講義。

参加者は2つのチームに分けられて(1チーム4人)、それぞれサーバを与えられる。ショッピングサイトを運営しながらサーバへの攻撃に対応しましょうという内容。

白浜のコンテストがタイムラインで流れているのを見て「面白そうだな」と思ったのが選んだきっかけ。キャンプ2日前に事前課題が出される驚きの展開だった。

同じ内容で3セットほど行い、攻撃をどのように把握してどう対応していくのかをチームで話し合いつつ最終スコアを伸ばしていった。

学生よりも見学の大人の盛り上がりの方が目立っていた印象。チームメンバーから自分の知らない手法を沢山学べて実りある時間に出来た。

「グループでの協力いいな」と思った。

 

BoF

Buffer OverFlow の略だと話題だったこの時間の正体は受けた後も謎だった。

昨年までは名物としてCTFがあったみたいで若干期待していたのだが、

今年は少し趣向を変えて選択制のミニ講義が前半と後半に分けて行われた。

内容も当日配布の紙で発表で、選択する時間は殆ど与えられなかった。

前半は部屋を間違えてヤフー株式会社による

「インターネットサービスでのセキュリティ対策プロダクトの必要性」を受けた。

丁度私の研究室の先輩がyahooに就職予定のため興味本位で覗いてみた。

内容は技術紹介メインで宣伝ちょこっとといった感じで、現場の生の声を聞けた楽しむことが出来た。

質問コーナーで「社食でTポイントがたまると伺ったのですが、貯まったTポイントは皆さん何に使いますか?」と聞きたかったが、他の人の質問が技術寄りで素晴らしかったため質問する勇気が出なかった。

「黒い服の人ももう少し喋って欲しかったな」と思った。

後半は今岡さんによる「NN系の学習済みモデルをFPGAへ実装してみた」を受けた。

興味本位で参加したこの講義であったが、タイトル詐欺と言わざるを得ない内容で「FPGAを崇め奉る会」だった。

結構砕けた感じで終始進行され、結果としては楽しんで参加することが出来た。講師陣のレベルが素晴らしすぎたため、もはやどの講演を選んでも楽しめたと思う。

公演中今岡さんが何度も使っていたが、

神ってるって死語じゃないか?」と思った。

交流夕食会・企業プレゼン

もうかなり慣れてきた夕食タイムであったが、この日は「交流夕食会」というなの講師・チューター・参加者の強制一緒にご飯イベントだった。

個人的に講師・チューターは内輪でキャッキャウフフしている印象があったので、このような強制イベントはアリだと思った。

コミュ障に優しい「話のネタカード」が各テーブルに置かれていた。

そしてこの日は確か1回目の企業プレゼンがあった。

企業プレゼンはその企業のキャンプ出身者などが企業のセキュリティ部門の紹介を行う感じであった。そうそうたる顔ぶれで何処の企業の話も気になる感じだった。

残念なことに企業プレゼンの概要が選択アンケートの段階で出そろっておらず、企業名で選んでるような状態になってしまったため、「知っていればあっちを聞いていたのに…」みたいな部分が大きかった。

 

4日目のお話 (8/17)

ここまで来るとそろそろ睡眠では庇いきれない疲労が見えてきた。

E6-7 「インシデントレスポンスで攻撃者を追いかけろ」

なんだかんだ受けた講義の中で一番これが自分に合っていて面白かった。

るくすさんの講義を受けてしまったせいか、

いきなり被害ディスクのデータを渡されて「はい、さがしてね」って突き放されることを想定して身構えていたが、

ふたを開けてみれば丁寧な解説付きでとてもわかりやすい講義であった。

講師の方が3人もいて三者三様でいい感じにやりとりを楽しめた。

座学と演習を繰り返していく形式で、現場で使われているものが紹介されたが、始めて使うようなソフトばかりだった。

技術的に強い方々は座学がつまらないのか轟沈していたようだが、基本から扱ってくれたために私は余すこと無く堪能することが出来た。

親指の自己主張が激しい写真が使われていた。

3人で講義を楽しそうに進めていく様を見て

「仲間っていいな」と思った。

企業プレゼンテーション

この日は2回目の企業プレゼンテーションが行われた。

富士通株式会社の講演を聴いたが、スライドをまとめる技術が強くて感動した。

質疑応答は殆ど坂井さんが答えていた気がする。

 

サプライズ

噂には聞いていたが、講師陣から技術書やノベルティグッズが提供された。

廊下に本がずらっと並べられ、全員が一周して内容を確認。二周目で欲しいものを選んでいくらしかった。

何を基準に選ぶ順番を決めるのか疑問に思っていたが、年齢順と聞いて「公平ね」と思った。

頂いた本を抱えて笑顔の小中学生を見るとこちらまで嬉しくなる。

若干何の本がもらえるか期待していたのだが、その考えは甘かった。

参加者中最高齢の私が二周目に行くと、既に用意されていたグッズは跡形も無く持って行かれていた。どうやら20歳を超えるあたりからグッズはもらえなかったらしい。

大人は自分のお金で買いなさいという現実を見せられた。数くらい事前に確認しておこうよ

来年参加予定の方は20歳以上の場合サプライズに期待してはいけない。

 

5日目のお話 (8/18)

いよいよ最終日。寝坊する人間が後を絶たなかった。

グループワーク

発表前にまとめる時間が取られた。

 

ヒアリングを終えて情報を整理し、皆で方針をすり合わせて妥協点を探り、スライド作成にも取りかかった。

自分たちの班は意見討論の内容をHackMDにまとめ、スライド作成はGoogleスライドで全員一斉に取りかかるスタイルで行った。

「時代は進歩したな」と思った。

全員で作ったスライドをデザインセンスのある方がデザイン統一し、発表者となった3人が原稿を考えて本番に備えた。

発表はどのチームもクオリティが高く、内容に説得力があるものばかりであった。

どのグループの発表者もプレゼンの仕方がうまく、何処でそんなスキルを身につけたのか気になるレベルだった。

全体的に深夜テンションが存在感を出し、NOCチーム愛用の5000兆円フォントが至るところで使われていた。

結局結果は、会場を一番沸かせていたイキリストの皆さんが優勝していた。

 

さいごに

講師・チューターの方々を把握し切れていなかったため、一緒にカレーを食べていた気さくな人が実はSECCONのトップだったり、受けた講義の講師が実は超有名な方だったりと後で「あのとき話しかけるチャンスだったのに」と後悔しそうなくらいであった。

今後参加を考えている人は講師について早めにググってまとめておいた方が将来の自分のためになるかもしれない。

ここで過ごした5泊6日は興味の幅を広げるきっかけにもなり、今後の学生生活のモチベーションを構築してくれた。持ち帰った講義の資料をうまく使って、講義で吸収しきれなかった部分の復習を行い役立てていきたい。

衣食が提供されて参加者は受ける講義だけに集中できる環境におかれるため、普段では味わえない濃い1週間を満喫することが出来た。

来年からは応募資格が無くなってしまうので残念であるが、腕を磨いてミニキャンプやチューターサイドとして参加出来るように残りの学生生活を有意義に過ごしていきたい。

https://twitter.com/security_camp/status/8969910580720025

セキュリティ・キャンプ2017 ~準備編~

 

はじめに

22歳までの学生が応募することが出来、技術的に恐ろしいプロ学生が集うセキュリティ・キャンプ。

そこへ最年長(4月生まれ22歳)で参加した、セキュリティ学習歴1年未満の圧倒的技術不足な残念さんのお話。

 

セキュリティ・キャンプとは

www.ipa.go.jp

独立行政法人 情報処理推進機構 (IPA) が主催する、「情報セキュリティに強い若者発掘して育てようぜ」イベント。

毎年8月の某巨大祭典の前後に「全国大会」を東京で、それ以外の月には各地方で「地方大会」を不定期でやっているみたい。

www.security-camp.org

全国大会は5月頃に課題が提示され月末に締め切られ、応募者の中から50人を選抜して東京に無料でご招待。

毎年4倍くらいの倍率で年々応募者数が増え気味らしい。

今年は幸運にも参加者枠が増え、例年50名だったものから「選択コース」50名, 「集中コース」30名へと拡大された。

ありがとう自民党政権

「選択コース」は数ある講義の中から自分で受けたいものを選んで時間割を作れるコース。

「集中コース」は1つのテーマに会期中全ての愛を捧げる高度なコース。

数多くのプロたちが集中コースに行ってくれたおかげで(?)選択コースでの参加が叶った。

 

セキュリティ・キャンプとの出会いの話

セキュリティ・キャンプそのものの存在を知ったのは2016年秋のこと。

私の住む地域で「CTF for Beginners」と「セキュリティ・ミニキャンプ」が同じ年に開かれ、

そんな奇跡的なタイミングで大学の「セキュリティ() 研究室」に配属されたのが情報セキュリティとの出会い。

地方大会は2日間で行われ、1日目が「一般講座」, 2日目が「専門講座」で構成されている。

2日目は学生のみ参加が許され、応募課題をこなした者から抽選で20名くらいが技術的で高度な授業をハンズオン形式で受けられる。

当時「セキュリティ? 何それおいしいの」状態であった私は2つのビッグイベントに興味が無く、ミニキャンプは定員割れして募集期間が延長されたタイミングで、教授に「みんなで行って」と促されての応募だった。

ゲームのチートに関する内容で事前課題が出されたのですが、「定員割れしてるなら通るだろ」とOverWatchの片手間に書いた1問1答レベルの残念な応募用紙を提出した結果、見事に同期4人中1人だけお祈りされてしまった。

 当時は何とも思わなかったものの、キャンプ後に楽しそうに話している同期の輪に混ざれるわけも無く、一人だけ話題にも技術的にもておくれてしまった私は、

後悔の念に苛まれた結果「そうだ全国大会、行こう」と巻き返す決意をモチベーションにして募集までの半年間を生きてきた。

 

応募に至るまでの話

大学4年生になると、同期は全く研究室に来なくなってしまった。

1人寂しく研究室で教授の雑務をこなす毎日でしたが、ある日偶然こんな話が来た。

ガラケーからスマホに買い換えようと思うんだけど」

MNPおじさんだった私に相談を持ちかけてきたのは、学籍番号が隣なだけで際だって仲がいいわけでも無い同じ学科の人だった。

彼にケータイ会社の乗り換えを勧めていくなか話に花が咲き、相談タイミングも相まって一緒にキャンプに応募する急展開が発生した。

「ひとりぼっちは寂しいもんな」

「一緒に事前課題解いていこうぜ」的な残念な話では無く、モチベーションを高め合うための戦友的な関係だった。

事前課題から当日の講義選択に至るまで彼と一緒のものを選ぶことはありませんでしたが、彼の存在はぼっちの私には大きかったと思う。

さて、大体応募課題公開から提出までの期限が1ヶ月ほどあった。

会場では「2日前にさらっと書いたわww」とか「全部で3時間もかからなかったかな…」みたいなプロに沢山お会いしたが、

セキュリティ界のスライムな私は課題の内容を飲み込み手を動かして理解し、文章を書き連ねるのにかなりの日数を費やしたように思う。

「技術力がないぶん時間量でカバー」

同じ研究室内の先輩に2年前の参加者で「県内で最初のセキュリティ・キャンプ参加者」という聞こえのいい肩書きを持った方がいたため、質のいいアドバイスを受けられる環境であったことも応募用紙が通過した要因かも。

 

応募用紙の話

応募用紙については恐らく多くのプロが晒していると思うが、私なんぞの低クオリティを晒しても仕方がない。

そこで、来年以降応募を考えているそこの君に1つだけアドバイスを書き残しておく。

応募用紙には「共通問題」と「選択問題」の2種類があり、全体像は以下のリンクのようになっている。

https://www.ipa.go.jp/files/000059682.pdf

書き始めた私が最初に「ゲッ」と書くことを躊躇ったのが

「あなたが今まで作ってきたものにはどのようなものがありますか?」という1つ目の問題。

過去の参加者が晒してきた応募用紙を見れば分かるとおり、なんかスゴいモノをスゴい数自慢しているっぽい。

 

heruwakame.hatenablog.com

「作ってきたモノなんか無い」そう断言できるレベルの私を後押ししてくれたのがこのツイート

キャンプの応募期間に焦って作ったRaspiルータの残念なお話と大学で作っていたショボイCTFスコアサーバの話しか書けずに困り果てたわけだが、

 「他の参加者が色々作っていた期間に自分は何をしていたのか?」

そんなことを考えたら趣味のお菓子作りが頭を過ぎり、共通問題1はシュークリームのネタを沢山書き殴った。使っている愛機のオーブンから試行錯誤してたどり着いた業務用生クリームのメーカの話まで。他の2つの技術的な話よりもシュークリームが長くなってしまってもはや何の応募か分からなくなった。

「セキュリティ関係」の縛りが無い以上、人間必ず何か作ったモノとエピソードは持っているはずなので、尻込みしないで書いてみると意外と評価されるかも、というのがアドバイス

Twitterで「作ったもの無いし過去の応募者見てると自分なんか応募できない」的な呟きを見かけたが、その気になれば1ヶ月で何か作れるわけだし、頭を柔らかくして別のアプローチもありますよという話。

シュークリームをありったけ自慢した応募者なんていないだろうから、作った数が少なくてもクオリティが低くても、尖り具合だけはK点超えだったと思う。

 

 

さいごに

応募課題を触ってみるだけてもかなりの量の知識・技術と出会うことが出来る。

興味が少しでもあれば是非触ってみて、応募してみてはいかが?